【完】キセキ~君に恋した時間~






磯部は未だ驚いたような表情で、俺の傍
へと寄ってくる。



「幼なじみさんも、呼んだんだな」


「うん。あ、ダメだった?」


「や、全然いいけど!」


「アイツ、見てないとちゃんと食べてる
かわかんないからさ」



そう言って、無意識の内に、ふ、と微笑
んでいた俺を、まっすぐ見つめてくる磯
部。



「……徹って、さ……幼なじみさんのこ
と……」


「ん?」



ちょっと首を傾げると、磯部は眉を下げ
て笑った。



「……なんでもない。その様子じゃ、ま
だあんま気付いてなさそうだし」



……なんだそれ。



変なの。



不可思議な磯部に首を傾げてから、ふと
その後方に目をやると、困ったように武
野さんが立っていた。