そんなことないのに。
陽子って、武野さんにぴったりだと思う
。明るくて太陽みたいな武野さんに、よ
く映える。
だから俺は、そんな意味もこめるように
少し微笑んだ。
「そんなことない。可愛いよ」
その瞬間、何故か真っ赤になって、目を
見開いた武野さん。
そして何故か、磯部が恨めしいような、
呆れるような視線を寄越してきた。
「……こうやって女子は、知らぬ間に、
徹の毒牙にかかっていくんだな」
え、毒牙って?
きょとんとする俺。どうやら、意味がわ
かっていないのは俺だけらしかった。
「お前はなぁ~、罪な男なんだよ!」
───その日の帰り道。


