【完】キセキ~君に恋した時間~





……なに、イタズラ電話?俺の反応を楽
しもうって魂胆か。



だえど。



『……けてっ…』


「え?」



微かに耳許に届いた、か細い声。



電波が悪いだけかもしれない。だけど、
泣いてるように聞こえて。───どうし
ようもなく、胸がざわつく。



『……助けて……っ』



───今度ははっきり聞こえた、"タス
ケテ"の四文字。



胸騒ぎがいっそう強く、濃く色めく。



ケータイを握る手が汗ばんで、ひゅう、
と息が喉を通っていくのがわかった。



「美海……?」


『助けてよ……っ!!……も、やだ…』


「美海!?どうしたんだよ!」


『もう……やだ…』



もうやだ。助けて。美海はただただそれ
を繰り返すだけ。