「徹、美海ちゃんのこと、途中まで送っ
ていきなさい」
「え」
「ホントですか?ありがとうございます
」
「え」
待て待て。俺の意思は無視ですか?聞く
余地もないと、そういう事ですか。
ほんと俺の周りは、非情で鬼畜なやつら
ばっかりだ!!
なんで鬼畜に囲まれて育ったのに、俺は
こんなにもネガティブで暗い男に育って
しまったんだろ。
……ものすっごい不思議だ。
どうやら俺には、送っていくという選択
肢しかないらしく、仕方なく、美海と、
駅までの道を歩く。
無言でね。
そして、無言のまま、東京駅に着いた。
美海はここから新幹線とバスで帰るらし
い。
とりあえず、美海が新幹線に乗るまで待
ってやろうと思っていたら、新幹線の到
着を知らせる音が鳴り響いた。