その日はそのまま桂と一緒に帰るコトになった。
桂の家は市外だったから、私の家は遠回りだったけど送ってくれた。
「ゴメンネ。道わかる?途中まで送ってくヨ。」
「…ゴメンだけどいい?」
堤防沿いを自転車でゆっくり走っていた。
私は緊張してて何も話せなかった。
「ねぇ…あのさ。…キスしたコトある?」
最初に口を開いたのは桂。
しかもいきなりすぎる質問!
「ないヨ!?だって桂が初めてだもん。」
二人で顔を赤くしながら、そのままバイバイした。

次の日、部活にいこーと体育館に行くと桂が入口に立っていた。
私はうれしすぎて早足で挨拶だけして通りすぎていった。
今思えば、桂は何か私に話したかったのかもしれない。
部内では私達のコトは噂になっていた。
私は恥ずかしくて、わざと桂にはそっけなくして余裕をかましてるフリをしていた。
帰ってからのベル打ちは欠かさなかった。
「アイタイヨ ヤヨイ」
「オレモアイタイ ケイ」
電話が苦手だった彼とはいつもベルで連絡しあっていた。
最近ファーストフード店でバイトを始めた私は桂をデートに誘った。
「バイトノアトアオー ヤヨイ」
「ムカエニイク ケイ」

その日のバイトはウキウキでやっていた。
「いらっしゃいませ~♪」
なんてネ☆

バイトが終わっていくら待ってても桂がこない。
しょぼくれてるとベルが鳴った。
「ヤッパリイケナクナッタ ケイ」
なんだそれ!雨の中待ってたのに!
次の日から桂は急に冷たくなった。
ベルにも返事をくれなくなったし、みんなとの会話に女のコの名前も出てきていた。
私も全くしゃべらなくなった。
数日後、一通のメッセージ。「ワカレテホシイ ケイ」
「イッカイハナシタイ ヤヨイ」
「……」
「……」
それっきり自然消滅。
しばらくして桂に好きなコができたコトを綾乃さんから聞いた。
「やよちゃんがいかんだヨ!」
綾乃さんに怒られたけど、私には全く理由がわからなかった。
桂の態度の急変に私はあきらめきれず、引きずり続けた。
何で……?
わかんないヨ…。