「もう離してよ! 帰るから私!」 「帰んなって何回言えばわかんだよ!」 「…っ!」 「──俺を見てろ。 俺の応援しろよ」 手をグイグイ引っ張って、私の前を歩く奏多。 ずっと背中を向けたままだったけど…いつもと何か違うことは、わかった。 だから…何も言えなかった。 奏多がいつもと違うのと、 触れられた手が…ひどく熱を帯びていることに気付いたから…。