座っている私の前にひざまずいた奏多。
その両手で、私の右手をギューッと強く握ると、
上目遣いで、私を見上げた。
「…っ?」
「お前が離れるなんて…嫌だ…。
俺、お前がいないと…ダメなんだよ」
「い、意味わかんないんですけど…!」
「………全然楽しくねーんだよ…。
岸谷といても、碧と話してても…
お前が…穂香が隣にいないだけで、
……何も楽しいと感じねーんだ…」
「………っ!」
それって…
私といるのは楽しいって、思ってくれてたってこと…?
「奏多…」
「………ダメかな…」
「………え…?」
「もう一度“幼なじみ”として仲良くするのは、
………ダメ…か…?」
ダメじゃない。
また奏多と、一緒にいたい。
でもね
もう、“幼なじみ”としてじゃ嫌だよ…。



