───ピンポーン…
奏多の連絡先知らないし、向かいだと会いに行った方が早いもんね。
奏多の家のインターホンを鳴らした後、
ドキドキして待つ私。
そしてしばらくして玄関から顔を覗かせたのは、奏子さんだった。
「あらっ!
穂香ちゃんじゃないの~!」
「ご無沙汰してます」
「奏多に用事?」
「はい」
「じゃあ、あがってあがって!」
「え、いや…すぐなんで…大丈夫です」
ぐいぐい引っ張ってくる奏子さんだけど……
いやホントに…そんな長い話では……
「母さん!
鍋吹きこぼれてっけど!!」
「きゃーっ!忘れてた!」
すると台所の方から聞こえてきた声に、奏子さんはバタバタと台所に向かっていく。
それと入れ替わるように、奏多が私の前にやって来た。



