お嬢様、俺のお味はいかが?


「――ちゃん、なーちゃん……!!」

「……ん……みーちゃん……?」

「あっ!!先生!!なーちゃんが起きました!!」

「みーちゃん……うるさい……頭ガンガンする……」

「あっ、ごめん!!」

「……鳥河の双子は!?」

「鳥河くんだったら、どっちかが私を呼びに来てくれて、もう一人のほうが東佐間さんをきれ
いなベットに寝かせてくれたわよ」

保健の先生が説明してくれた。

やっぱり先生でもどっちがどっちだかわからないんだ。

「そうなんですか……」

「えーーー!!なーちゃん、神と豪となんかあったの!?」

「いや……別に……」

「ふーん。まぁいいや。なーちゃん、もう大丈夫?授業、出れる?」

「うん。もう気分が落ち着いた。行こ」

「お大事にー」

「「失礼しましたー」」

はぁ……今日という日は何なんだ……?

今日は厄日か何か?

「ねぇ、なーちゃん」

「ん、なに?」

「本当に、神と豪と何もなかったの!?」

「んー?あった……ねー」

「あったんかい!!」

「いやー、それがね……」

私はさっきのことをみーちゃんに話した。

「なーちゃん!!それって、神と豪がなーちゃんが気になるってことだよ!!」

「はい?私と会話したりしたことないし、私があいつらを徹底的に避けてるし、好かれるとこなんて無いよ」

「いやだって、A組の佐藤さんなんて、前にあの二人と付き合ってたんだけど……ヤらなかったらしいよ」

最後のところはさすがに恥ずかしいらしくて、みーちゃんは小声で言った。

「でもそれは、女のほうが誘わなかったからじゃないの?」

「おお!!お嬢様がそんなハレンチなこと言っていいのかしら?」

「私もそういうことが気になる年頃よ」

「あらそうなの。まぁ、佐藤さんも呆れて、自分から誘ったらしいけど、『俺、本命としかヤ
らない主義だから』って二人して同じこと言ったらしいよ」

「へぇー」

ということは、こないだいってた『付き合った女の数』っていうのは、ただのゲームか……。

「というか、授業は?」

「今日はね、担任が風邪で休んで、ほとんど自習になりました♪」

みーちゃんはダブルピースをしながら言った。

「私たちの学校も、大変ね。一学年1~2クラスでしょ。生徒が少ない分、先生も少ないし
ね」

私たちの学年は1クラスしかないから、あの双子も同じクラスだったし。

「だよねー。軽くあり得ないよねー」

――ガラガラ

「あっ、ななちゃん戻ってきた!!」

「大丈夫だった?心配したよー」

「大丈夫だよ」

教室に戻ったら、クラスの子たちが駆け寄ってきた。

「「調子はどうだい?」」

「えっ?」

そこに一人ジャージを着た鳥河がいた。

「なんでジャージ……あっ!!ごめんなさい、豪さん!!」

「本当だよ。あんな至近距離で吐かれて、謝らなかったら、とんだ腹黒お嬢様かと思ったけど、ちゃんと謝ったね。偉い偉い。」

神のほうが、私にそういって、頭をポンポン撫でた。

「頭を撫でないでください。ウザいです」

「うわー、元に戻った」

「でも注意するほど元気になってよかったじゃん。そんなに元気なら……」

神のほうが私の方に近づいて耳元で、

「さっきの続きができるね」

といった。

「あっ、顔真っ赤」

豪は神が何を言ったのか察知したらしく、私の反応を見て笑っていた。

「なぁ、東佐間。今日俺らと帰ろうぜ」

「嫌だ。あんたたちなんかと歩きたくない」

「へぇー、じゃあさっきあったこと言っちゃうよー?」

クラスの子たちはみんな「?」だった。

みーちゃんは全て知ってるから、楽しそうにみてるけど。

「でも、私には迎えがあるし」

「んなもん、ほっとけばいいんだよ」

「そうだよ。はい、決定」

「えっ!!」

こうしては私は、このウザいところまでそっくりの双子と帰ることになった。