ゆっくりと隣に視線を向けると、叶斗くんの綺麗な横顔が目に入る。

…と、私の視線に気付いたのか、こちらを見る叶斗くん。


重なる視線。
優しい眼差しに、胸が震えた。

どうして叶斗くんは、こんなに綺麗な目をしてるんだろう。
どうしてこんなに真っ直ぐなんだろう。

なぜか胸がぎゅっと締め付けられ、泣きそうになった。


「…どうしたの?」

「……あっ、ごめん。なんかぼーっとしちゃって!」

満面の笑みで、嘘をつく。
私はいつも、こうやって…簡単に嘘をつく。


「…ほんとに?」

「ほんとほんと!…なんか、歩きながら眠くなっちゃってた。今日はバイト忙しかったから、疲れてるのかも」

あははと笑って、嘘を本当にする。


だけど、叶斗くんの見透かすような目に、内心焦っていた。


…どうして、そんな目で見るの?

ドキドキしながら、笑顔を崩さないように頑張る。


「そっか、じゃあ今日はゆっくり休まないとだね」

と、いつもの優しい笑顔を浮かべる叶斗くんに、私はほっと安堵した。


「…叶斗くんも、ゆっくり休んでね」

「ありがとう」