だけど…本当は凄く凄く嬉しいんだ。大好きな人と…叶斗くんと、相合い傘…。嬉しくないわけがない。

ただ、なんの心の準備もしてなかったから、余計に緊張しちゃって…いつも以上に普通じゃいられなくて。そんないっぱいいっぱいの自分が、恥ずかしくて…情けないだけ。


「夕芽さん大丈夫?雨あたってない?」

「うん…大丈夫だよ!」

私がそう答えるも、さりげなく傘をこちらのほうに傾けてくれる叶斗くん。

こんなに傾けたら、叶斗くんが濡れちゃうのに…。

叶斗くんの優しさに、ぽわんと胸があったかくなった。

夜の雨は、寒くて冷たい。
だけど隣に叶斗くんがいるだけで、こんなにもあたたかい気持ちになる。


緊張してるはずなのに、こうやって叶斗くんと一緒に傘に入っていると…なんだかとても落ち着くな。

不安が和らぐような…そんな感覚。


でもこれは、今初めて知った感覚じゃない。

いつもいつも私は、叶斗くんに助けられてる。

真っ暗で不安な夜も、叶斗くんを思うと、それだけで不安が和らぐんだ。