.゚*Milky Way*゚.

「思い出しましたわ!」

パチンと手を叩き、聖愛ちゃんが急に声を上げた。


「聖愛ちゃん、どうしたの?」

「急用を思い出しましたの!夕芽ちゃん、ごめんなさい。今すぐ帰らなくては…月ヶ瀬くん、あとは頼みましたわ」

えっ?
…ちょ、ちょっと。
聖愛ちゃん…?


「あのっ…聖愛ちゃん」

「でわまた明日。ごきげんよう」

「えっ!」

待って、待って。
意味がわからない。
どうして急に…。

聖愛ちゃんは教室の扉の前まで行くと、こちらを振り向き、ウィンクをした。

な、なに?


あっという間の出来事に、呆気にとられてしまう。

ただただ呆然と立ち尽くす。


「有栖川さん、行っちゃったね」

「っ…そうだねっ!行っちゃった…」

ん?っていうことは…。
これって…もしや、二人きり?

静まり返った教室には、私と叶斗くんしかいない。

二人きりだ…。
どうしよう…!


…そっか、わかった。
聖愛ちゃん、わざと帰ったんだ。
私と叶斗くんを二人にするために…。意味ありげなウィンク…絶対そうだ。

でも、いきなり二人きりなんて、無理だよ…。