「お疲れ様でした」
やっと、バイトが終わった。
今日は凄く長く感じたな…。
それに、疲れた…。
外に出ると、雨はまだ止んでいなかった。
…………。
叶斗くんの傘をぱっと開き、夜道を歩きだす。
いつまで降るんだろう…。
夜の雨は…なんだかとても寂しい。
ふと傘の外に手を伸ばすと、掌に雨粒が落ちた。
冷たい…。
ほんとに、傘があってよかった。
叶斗くんに感謝しないと…。
叶斗くんはバイト終わったかな…?
ぼんやりとそんなことを考える。
…ん?ちょっと待って。
叶斗くんは私に傘を貸したから…傘を持っていないわけで。
そして、今も雨が降り続いているわけで…。
ってことは…
帰りも濡れちゃうじゃん!
傘…返さないと!
私は叶斗くんのファミレスに向かい、足を早めた。
帰りまで濡れたら、叶斗くんほんとに風邪ひいちゃう…。
まだいるかな…?
いればいいけど…。



