「星川さん」

突然後ろから聞こえた声に、ドキリと胸が反応する。


この声は…

ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには叶斗くんがいた。

やっぱり、予想通り。
見なくても、声だけでわかる。

好きな人の…声だから。


「な、なにかな?」

緊張でどもってしまった。

だって、叶斗くんが私になんの用があるっていうのだろうか。


そんな私の様子を聖愛ちゃんはニコニコと見守っている。


「先生に伝えてって頼まれたんだけど…書類整理、星川さんに残ってやってほしいって」

少し言いにくそうに、叶斗くんが言った。


書類整理…?
なにそれ。
っていうか、なんで私が?


……………。


あっ!もしかして…。

「…授業中、ぼんやりしてたから?その罰とか…?」

私がそう言うと、困ったような笑顔を浮かべ、叶斗くんは頷いた。


やっぱり…。

最悪…!
なんで先生もよりによって叶斗くんに頼むかなぁ。酷すぎる…。


叶斗くんに話しかけられ、嬉しくてドキドキしていた甘い気持ちは一瞬で消え去ってしまった。

もう私の印象ボロボロだ…。