…と、曲がり角を曲がると、前方に人の姿が見え、思わず足を止める。


…………。


えっ…?あれは…。
胸がドキリと鳴った。

思わずくるりと向きを変え、背を向ける。


待って。
こんなことって、あり得るかな?

いやいや、まさか…そんなはずないよ。

だって、今は真夜中だよ?
こんな時間だよ?

たったさっき、あり得ないって思ったばかりなんだよ…?

ないない…!
あり得ないよ…。

何度も心の中で否定する。


だけど、あれは間違いなく…。
私はドキドキしながら、後ろに向き直った。


…と、その人はもう近くまで来ていて、

「叶斗くん…」

私は名前を呼んでいた。


「えっ…夕芽さん…?なんでこんな時間に…」

やっぱり、叶斗くんだった。


驚きの表情を浮かべる叶斗くん。

…そうだよね、驚くよね。
こんな時間だし。


でも、それは私も同じで。


「叶斗くんも…こんな時間に、どうしたの…?」

なんとなく、聞きづらくて…。
そして、なんとなく、気まずい。