犬猫コンビを置いて、小さい公園の奥へと入ると、タイガーはブランコをプラプラと漕いでいた。


ネコタの予想はビンゴだった。


「さて、そろそろ登校時間だから学校へ行こうや」


後ろでわっと驚かせてやってもタイガーは特に反応を見せなかった。



「俺ダメなんだよ、これだと思ったら周りが見えなくなるんだ」


「気にすることじゃないよ、子供のうちはよくあることだから」



「だから俺は子供じゃないってば.......」



プーッと口を膨らませて言うタイガー。



そういうところが可愛くて子供だっていうのを分かっていないところがあざといんだよな。


とかそんなどうでもいいことを考えているとタイガーが話始めた。



「そして色々あって親も困り果てていた時にここのアニマル荘っていうのに勧誘されたんだよ

値段はほぼ無料で、俺をどうしていいか分からなかった親も二つ返事で了承した」



「それが気に食わなかったの?」



「そんなわけないよ、逆に有難いと思っているね」


笑っているとも違う怒っているとも違う微妙な顔をしてタイガーは言った。


「親の元を離れたかったと?」


「さっき言っただろ、色々あったって、その関係で少し気まずくなっていたからさ」


「ふーん」


「ふ、ふーんって色々って気にならないのか?」


「だから言ってたでしょ、言いたいことは言わなくても良い。それに関して深追いはしない。だから言いたくないなら言わなくていいの、言いたくなったら言えば良いよ」



「は、はぁ.....」



「前までは聞かれていたみたいで、その度にイライラをしていたみたいだけどね」



「そ、そんなことまで分かるのか!?」


ただでさえ大きな目をパチクリとさせている。



「そ、そうだ...さっきの傷大丈夫か?」


恐る恐るといった具合に私の腕を見てきた。


「気にすることはないよ、野生トラに噛まれるのよりは大したことないから」


「........ねえ、本当にこの寮にいれば俺の癖って治ると思う?」


私の裾を掴みながらタイガーは俯いている。


「それはタイガー次第だと思うよ、私も厄介な体質があるんだけど、だいぶ完治したからね」


「厄介な体質?」


可愛らしい仕草...人差し指を顎に添えて首を傾げるという狙っているとしか思えない仕草で尋ねて来る。


可愛いんだけどそれに関してはまだ言いたくない。


「それについてはまだ言いたくないことに該当するところだから勘弁して」


「うん。分かった」



「へぇ...へぇ...やっと追いついた」


丁度話が終わったそのとき、犬猫コンビが公園に到着した。


「あら、本当に居たんですか、私の勘もまだまだ冴えるわね」


「ね、ねえ、た、たぬき?」


「うん。タヌキだよ」


「あの寮にいる人たちも俺と同じような悩み持っていたりするわけ?」


どうなんだろう。


まだ全員何かあると聞いたわけではないけど、知る限りはそれなりに悩みを持っていたな。


「まあ、それなりにね」


というような曖昧に言っても、タイガーは訝しむ様子はなかった。


「それじゃあ学校へレッツゴーしようぜ!」


「「GO」」


「ご、ごー?」