「あらら?田貫さんまたお昼寝ですか?ダメですよ?」
部屋の入り口からゆっくりした口調が聞こえてくる。
だけど目を開けることすらも面倒くさい
「もう!怒られるのは私なんですからね!」
そういうと声の主は、私の方へと近づいてきて、私の前で立ち止まりこう言った
「起きないとぶっ殺ですよ?」
「お、おはようございます!」
「わー!起きてくれましたー」
ベッドの上で正座をして許しを乞おうとしたが、それを制した
「それじゃあ、寮長さん待っていますから早く下に来てくださいね」
それだけ言うと、スキップでもしそうな足取りで私の部屋から去って行った。
あの子は宇佐美。この寮にきたのは、私よりも前だった筈だ。
性別は...不明。
何故言いたくないかは分からないが、どうでもいいことだろう。
言いたくないことは言わない、それに興味を持たない、詮索しない。
それがこの阿仁丸(アニマル)荘の掟だ。
他の寮から見たらへんてこな制度だと思うかもしれないが、私としては大助かりだ。
寮長も変だしここの住人も皆変なヤツらばかり。
全然飽きない寮生活だ。
私は制服に着替え、下の寮長さんちへ向かう。
私たちの寮は、一つのアパートをまるごと寮としている。
一階の広い一つの部屋は、大家さん一家が住んでいて
食事は毎日そこでとっている。