「花野と郁人もここでこの景色を見るの好きだったよな」


私の隣に座った郁が言った。


「うん。
この場所は花野とイッくんにとっても私達にとっても大切な場所だよね」


ここで私たちの前世は幼少期の思い出を作った。

そして今の私たちはここから始まった。


ここで出会って、恋に落ち、思いを伝えた。


「俺達、最初から出会う運命だったのかもな。
だって前世の俺達もここで恋をしたんだから」


「そうだね」


郁の言葉に迷いなく頷いた。


「花野と郁人は悲しい恋の終わり方をしちゃった。
けど、俺達はちゃんと最後まで幸せになろうぜ」


郁の言葉にドキッと胸が鳴った。

もしかしてそれって…


「…プロポーズ?」


思わず聞いてしまった。

郁はその瞬間、顔が真っ赤になった。
熟したイチゴより赤いかも。


「そうかも・・・・」


彼は照れ隠しに手の甲を口に当てた。

きっと郁に負けないくらい私の顔も赤い気がする。