「遅いよ・・・・イッくん…」


「ゴメンって」


「でも、信じてたよっ…
イッくんは約束を破る人じゃないって」


私は郁の事がイッくんにしか見えなくなっていた。

きっと私の中に眠っていた花野の魂が蘇ったんだろう。


「でも俺、今はそんなこと言いたいわけじゃないんだけど」


彼はそう言って体を離した。



「返事、遅くなってゴメン。


俺も篠塚が好きだ。


俺と付き合って欲しい」



郁は私の目を見て言った。


「わ、わたしも郁が大好き…


郁の彼女になりたい」


大きく頷き私は言った。


私の言葉を聞いた彼は優しくでも今までに見たこと無いくらい幸せそうな顔で笑った。


私も同じくらいの笑顔を返した。


郁は私を力いっぱい抱き締めてくれた。