私はガクッと膝から崩れ落ちた。


「よか‥った…うぅ…っ…」


涙が再びドッと溢れた。

すると郁が近づいて私の身体をそっと包み込んでくれた。


「待たせてゴメン。
体冷え切ってるじゃん。
どれだけここにいたんだよ…」


私は何も言わず郁の胸の中で涙を流し続けた。


「篠塚さ、前に前世の話したろ?
俺、ずっとあれから頭に引っかかってたんだよ。
それで意識失ってる間に思い出したんだ。


前世の記憶…」


郁の意外な言葉に驚いて顔を上げる。


「“水木郁人”花野の恋人。
でも、高校生でこの世を去った。
それが俺の前世なんだろ?」


私はゆっくり頷いた。


「花野の生まれ変わりは篠塚なんだろ?」


もう一度私は頷いた。


「待たせてゴメンな、花野」


私は郁の首に手をまわして抱き着いた。