「…はい」


消えそうな声で言った。


『もしもし!チカ?!』


鼓膜が破れるような声が向こうから聞こえた。
電話の相手は真紀だった。


「真紀?どうしたの…?」


真紀が普段、声を荒らげるのは殆ど無かったから不安になった。
聞きたくなかったのに聞いてしまった。


『落ち着いて聞いてね…?』


真紀の声が低くなった。





それを聞いた途端、私は家を飛び出していた。


夢だと思いたかった。

現実味が湧かなかった。


だって信じられるわけない。




『水城が事故に遭ったんだって。
凍ってた道路を自転車で走ってたらスリップしたって。
そのまま頭を地面に叩きつけちゃって意識がないって』




だなんて‥‥

誰か嘘だと言ってください。

この悪夢から覚ましてください。