その日の夜、お風呂から上がった私は頭にタオルを掛けながら畳でくつろいでいた。


―――プルルルルルッ


電話の音が鳴った。


「チカー!代わりに出てくれんか?
おばあちゃん手ぇ離せなくて」


「はーい」


台所で洗い物をしているおばあちゃんに返事をして受話器を取る。


「はい、もしもし。篠塚です」


『あっ…篠塚?』


受話器からは愛しい人の声が聞こえた。


「郁‥‥?」


そう聞き返すと「うん」と返事が返って来た。


「ど、どうしたの?急に」


受話器のせいかいつもより郁の声が低く感じる。
それに耳元で囁かれてるみたいで鼓動が一気に速くなる。

会話をしたのは告白以来だから2日ぶり。


『明日さ、あの丘来れる?
この前の返事がしたい』


「う、うん!
何時?」


郁の言葉が嬉しくて見えないのに何度も頷く。


『じゃあ、10時半』


「わかった!また明日ね!」


『お、おう』


電話を切ってさっきの会話を思い出す。