「しのづ…」


「あ、今は返事、いらないから!

ゴメンね、こんな事急に伝えちゃって。

私、帰るね!」


郁の言葉に被せるように言った。


持っていた本を郁に持たせた。


「仕事、最後まで出来なくてゴメンね!


バイバイ!」


それだけ言って私は図書室を飛び出した。


走って、走って校門の前まで来た。


郁はきっと私の事は追っては来ない。


彼の真面目な性格上、残りの本を全部本棚に戻してから帰るだろう。


「言っちゃったっ…」


でも後悔はしてない。


やっぱり返事を聞くのが怖くて逃げちゃったけど…



その日の夜、加恋に報告した。


加恋はいっつも背中を押してくれて励ましてくれて。


だから一番に報告したかった。