「うん!あそこの席、空いてるから急ごう!」


トラックのラインぎりぎりの所に立った。
ここならあの人もよく見えそうだな‥‥


「水城が出てるから楽しみ?」


真紀に図星を付かれた。


「…うん・・・///」


真っ赤になった顔で頷く。


「あはは、チカは素直だなー」


真紀に背中を思いっきり叩かれた。


少し経つと力強い音楽と共に全校生徒の男子が入場してきた。


郁はクラスで背が高い方だから騎馬の前の部分を担当してるみたい。

女子の黄色い歓声が響く。


「キャ―――!先輩ファイトー!」


みんな先輩とか好きな人を応援してるみたい。

郁は私と同じ紅組だ。


組み分け票が張り出されたときは手を叩いて喜んだ。


ピストルの音と共にみんな一斉に走り出す。


郁は上の人を落とさないように慎重に、でも襲い掛かってくる別の騎馬を素早く除けるように仲間に支持を出している。


「カッコいい…」


ポツリとつぶやく。
私の視線は郁に釘付けになっていた。