最後の花火が打ちあがった。

それはとても大きくて綺麗で言葉じゃ表せないくらいだった。


花火が終わって屋台の灯りが点いた。


「郁、そろそろ行こう?
花火も終わったから2人とも探してると思うし」


もっと2人で居たいけど彼女でも無いわけだし…

郁は屋台の方へと行く私の手を掴んだ。


「…え?」


何が起こってるの?


「人、まだ居るからここに居ても大丈夫」


ボソッと呟くと彼は下を向いてしまった。


それって自惚れてもいいのかな?

郁が私に少しでも好意を寄せてるかもって。


「手、ゴメン」


郁はそう言うと握っていた私の手を離した。


「行こう」


それだけ言うと彼は歩き出した。
私は慌てて彼の後を追う。


さっきと違うところが一つだけあった。

前を歩きながらも時折、こっちを見てくる。

そんな小さなことでも嬉しかった。