「ああ、汚い。何故こんな人にボクを触らせなくちゃいけないの?ねえ、そこで見てないで出てきなよ」



汚れてボロボロな服に返り血をこすりつけながら、少年は扉の向こうを見つめた。



「安心して。君が扉を開けて隙ができたとしても、ボクは絶対に逃げないから。奴隷は奴隷らしく、大人しく主人の言うことを聞くからさ」



【奴隷】


つまりは、この空間の異質さは【奴隷房】故のせいか。はたまた止めどなく積み上げられる死体のせいか。



「それともボクに殺されるのが怖いの?怖いんだあ。へへっ、大人のくせに、子供が怖いんだね」



肩を震わせ嘲笑する少年に、ついに扉が勢いよく開かれた。