恐怖で震えるあたし。 お兄ちゃんが悪いわけではない。 お兄ちゃんは、あたしを守ってくれたのだ。 だけど、あんな恐ろしい力があたしの身体にも宿っているなんて…… 「玲」 ふと名前を呼ばれ、顔をあげる。 新しい雫があたしの頬を伝った。 「お前…… 俺のために泣いてくれてんのか?」 その声はいつもと違って、何だか妙に落ち着いていて。 「輝!?生きてるの?」 思わずあたしは叫んでいた。 胸に押し寄せる安堵。 何でだろう、あんなに憎い奴なのに。