辺りから悲鳴が上がる。 きっと、あたしを見て怯えているんだ。 リミットはあと少し。 いや……もう間近。 身体が氷のように冷たい。 地面を蹴る。 渾身の力で上を目指す。 身体の感覚は既に無く、死の恐怖があたしを襲う。 鉛のように身体が重い。 視界が暗く、狭くなっていく。 だけど、必死で上を目指す。 「有希……」 あたしの口から、大切な友達の名前が漏れる。 あたしは、有希を悲しませることしか出来なかった。 だけど、最後に恩返しをさせて。