だけど…… うっすら開いた瞳に飛び込んだもの。 それは、男の金色の髪で。 一瞬にして現実に戻されたあたしは、渾身の力で男を蹴り飛ばした。 ヤバい……。 なんて思わなかった。 ただただあたしはパニックを起こしていた。 蹴られた金髪は宙を舞い、空高く飛び上がる。 そして、数メートル向こうに音を立てて落下した。 醜く地面に伸びる男の髪が、風を受けてさわさわと揺れていた。