ふと、視界に自分の手が映る。 その手は血の気を失っていて、爪が黒く変色して伸びている。 その瞬間、我に返った。 あたし、きっと悪魔の姿に…… 「いやぁぁぁぁッ!!」 渾身の力で輝を突き飛ばした。 輝の身体は回転して宙を飛び、ベッドの向こうに音を立てて落ちた。 悪魔の力を使ってしまったが、今のあたしにはそんなことどうでもいい。 この悪魔の姿を、輝には見られたくなかった。 長い爪。 コウモリのような翼。 尖った角。 牙。 天使には比べものにならないくらい、本当のあたしは醜い。