目の前には綺麗な輝の顔。 あたしを見て優しく微笑んだ。 胸がきゅんと痺れる。 大嫌いなのに。 こいつは悪者でいいのに。 どうしてそんな風に笑うの? 慌てて横を向く。 こんな奴に動揺していたらいけない。 あたしは心を鬼にしないと。 ……こいつを消すために。 横を向いたあたしの頬を、その大きな手が掴む。 抵抗なくあたしの顔は元の位置に戻され、輝の唇を受け入れる。 魔力……いや、力すら残っていない。 今のあたしはされるがまま。 そのキスに身を捩り、熱い吐息を洩らした。