気付いたら、全身から力を発していた。 あたしが発した黒い闇が、前方の二人へと襲いかかる。 同時に、すぐ近くで雷鳴が聞こえ、まばゆい光があたりを照らした。 青白い稲光の中、黒い力は正樹君を襲う男の胸元へと突き進む。 放り投げられたように正樹君は地面に倒れ、男は胸を押さえてもがき苦しむ。 その様子を見て、はっと我に返った。 あたしは…… 禁忌を犯した。