「あなた……」
不意に立ち止まる明里さん。
その瞳を見開き、あたしを見た。
何だか居心地の悪いあたし。
明里さんもあたしを子供扱いするのか。
やっぱり、あたしはこんな場所に来るべきではなかったんだ。
適当に理由を付けて、逃げ出そうと思った時だった。
「輝……ちょっと」
静かに輝を呼ぶ明里さん。
落ち着きすぎて、その言動がやたら怖い。
きっと、あたしはすごい顔をしていたのだろう。
明里さんはふっとあたしを見、柔らかい笑顔を作る。
「ごめんなさい。すぐ戻るわ」
そう言って、輝と扉の向こうへ消えていった。



