「聖から言われた。
明里、こいつに服を貸してやれ」
ぶっきらぼうにそう言って、ドスっとソファーに腰を下ろす輝。
埃と羽毛がきらきらと舞い散った。
「あらあら。
あなたはいつも気性が荒いわ」
ふふふっと笑い、ゆっくりと歩く明里さん。
まるで宙を歩いているかのような軽やかな足取りで、部屋の角のクローゼットから一着のドレスを取り出した。
赤いそれは一面にスパンコールが付いていて、光を浴びてきらきら輝く。
「わぁ……」
思わず声が出てしまう。
あんな素敵なドレス……
芸能人が着るようなドレス……
あたしには豚に真珠だ。
明里さんはそんなドレスを手に、ゆっくりあたしに近付いたが……



