歯噛みしたリリコを見透かし、ユエリも空を仰ぐ。 「闇が嫌いなら呼べばいい。いつでも」 ミズキの名を呼んだことを咎めたりはしない。それでもユエリの瞳の奥に宿る熱い炎にリリコは目を逸らした。 「どこでも?大雨の中何時間も人の家の下で待ってるから?」 ユエリが小さく微笑み、Tシャツの裾を親指と人差し指でつまみ上げた。