「指回っても、別に楽しくないし。ただ、次はどんな音を出そうかとか、ここはどんな情景だとか考えながら弾くのって……楽しくない?」

私は何も言えずにただ何度も頷いた。
…桜田颯斗だ。

「日常でも色んなもの見るだろ?そん時に、この情景はこんな音かなとかさ。想像してるんだよ。あの曲のあの部分の情景にしっくりくる、とか。イメージってどんな曲にも必要だと思うんだよ、テクニックなんかよりずっと」