手にしたオルゴールに目を落として、しげしげと眺め、そして次に顔を上げた時。 私はそのオルゴールを手に、なんの変哲もない道路に、1人立っていた。 夢…? いや、でも手に残されたオルゴールは現実だ。 命を掛けて? ……馬鹿馬鹿しい。あんな男の為に命を掛けるなんて、そんな勿体無いこと、してなんかやるものか。 気付かなかった私が悪いんだ。 そう思ったものの、オルゴールを捨てる気にもなれず、私はそれを持ったまま帰宅した。 酔いは、既に冷めていた。