「今年こそ可愛い年下の彼氏作らなきゃ、寂しい学生生活を送る事になるじゃない。」

みーちゃんはそう言って、まだチラホラとしか見えていない受験生の下見を始めた。

みーちゃんは年下好きだ。

去年の同じ頃にも似たような事をしていたのだが、どうやらこの一年の間にその恋が成就されなかったようだ。

今回も文字通り恋人候補を漁っているのだが、この行動に私も巻き込まれているのにはみーちゃんなりの気配りもあった。

と言うのも、みーちゃんは引っ込み思案な私に彼氏を作らせたいのだそうだ。

私は何度も大丈夫とは言ってきたのだけどみーちゃんはそのままじゃ駄目だと言って聞かなかった。

そのままでは駄目なのは、私も本当は重々承知だった。

でも、何かしっくり来ない…私が彼氏を作ると言う事に対して実感が湧きそうになかった。

多分そんな所もみーちゃんは見抜いているだろうなと私は何も言わずみーちゃんの後ろにいた。

私はふとまた桜を見上げた。

花弁が一枚、私の視線を横切る…

「そう言えば、ま…あっ…」

そう言って振り向いたみーちゃんの鼻の上にその花弁が舞い落ちた。






その瞬間、けたたましいベルの音がこの地域を響かせた。