株式会社「C8」






何にせよ、抱えている問題は沢山ある。


立間希美の件が片付いたらもう一度最初から考えてみれば良い。探偵も専門分野だ。


こうしてあれこれと考えている内に、事務所近くにある駅に到着した。

立ったまま寝ている浩子の首根っこを掴んで、引きずるように駅の改札口を出てそのまま事務所へと向かう。



「……ふざけんな」


「起きてんなら自分で歩け。」


「黙れ、減給減給減給。」



ふと声がした方を見ると今にも銃が出てきそうだ。

寝起きの悪さは分かっているが、いつも他のメンバーがなだめている為どうして良いか分からない。



「あんだけで酔うってガキかよ。」


「…何?」


「いや、別に。」



さて、斜め後ろの狂犬は放って置いて、明日は立間希美のパソコンとダミーのパソコンとを入れ替えなければならない。

いつでも潜入は可能だが、一応明日で第一研究室への助っ人期間は終了。橘の事は気になるが、自分の仕事を全うするのが先決だ。黒野も此方の思惑通りに動いてくれれば良いのだが…。


それにしても、黒野は立間と接触し、データを奪った後すぐ彼女を殺すつもりなのだろうが、プライベートまで着いて回るSPの目をどう掻い潜るつもりなのだろう。

皐月が盗聴した限りではSPについて触れていなかった。

もしかすると、彼等の間で二人で会う時はSP禁止、等と決めていたりするのかもしれないが…。

否、八代とドライブに出掛けた時SPは着いて来ていた。店内は無いにしても、店の外では待機させるだろう。

やはり、時間差の毒殺か…。

もしくはサイレンサーの付いた銃だったり…。

仲間がいるなら遠くから狙わせる事も可能だが、とりあえずダミーのパソコンを用意した事で対策済みだ。その場では殺せない。



「………。」



黒野は用が済めばすぐに姿を眩ませるだろう。昨日も浩子に言ったが、奴を野放しにして良いのだろうか?

害は無くとも此方の素性を知られでもしたら……



「………チッ。」



駄目だ。

あまり消極的に考えていては仕事に支障が出る。

今はただ、計画通りに事を運べば良い。



暗い路地裏を進めば見慣れた廃ビルが目の前に建っている。三階の窓から皐月が此方を見下ろしている辺り、事務所に入れば文句を飛ばされるだろう。本当は、店内のチェックと盗聴具合の確認だけで帰る予定だったのだから。