「もしもし、あなた。あなたよね?だってこの携帯電話の番号はあなたしか教えてないもの!ワタクシ大好きなあなた、どうしたのっ。女に、果ては男にまとわりつかれているのならワタクシ、熱したフライパンを持って――あなた?」 しん、と一言も喋らないワタクシの愛するお人。吐息はあの人のものだから、間違いなく電話向こうの相手はあなたなのだけど。 「……、た」 「え」 「猫、轢いちまった」 ゴキブリ轢いてくれた方が良かったのに、ね。