愛するお方が蛇となりました



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あなた以外に使う金などドブに捨てるのと大差ないのだけれど。


「あなたー、あなたー。ぎゅってして、抱きしめて、肋折れるほどぎゅううってしてー!」


こうして元の体に戻ったあなたに甘えられるのだから良しとしましょう。


「はあぁ、一時はどうなるかと。マジで車運転したくなくなって来るわ」


それでも仕事に行かなきゃならないあなた。


「今日はもう休みましょっ。昨日は一晩中、蛇に謝っていたせいで、ワタクシのこと構ってくれなかったじゃないっ。愛して、愛してっ、ワタクシもあなたを愛した、いたいいたいいたい」


頭をぐりぐりやられてしまったわ、ああ痛くても、逞しい手が戻って来たのだと歓喜出来る。


「まったく、お前は。蛇のことなくても、毎朝毎朝。仕事ぐらい『行ってらっしゃい』と送り出せよ。――ほら」


あなたなりの『行ってきます』。やっと出来た口付けは涙が出そう。


ワタクシの『行ってらっしゃい』はいつも涙。今日も無事に帰って来ますようにと――