FA-MASを構えたまま、省吾は進む。

中東の強い日差し。

その日差しに照り返される街並みは、どこも廃墟同然だった。

原形を留めている建物はまだいい方だ。

壁を貫通されているコンクリート製の家屋、鉄筋が剥き出しになっているビル、炎上して黒焦げになったまま放置されているテクニカル(ピックアップトラックなどの荷台に銃砲を据え付け、車上戦闘を可能にした戦闘車両)。

中には残骸の山だけが残っている建物もある。

まるで怪獣映画の怪獣が暴れ回った跡だ。

全ては迫撃弾などで破壊されたもの、或いは空爆を受けて被害を蒙ったもの。

こんな一般市民の住む市街地のど真ん中で、平気で戦闘行為が行われているのだ。