省吾が依頼人との待ち合わせについて来たのは、只の耕介の運転手役ではない。

『矢沢 省吾を依頼の話の場に立ち合わせて欲しい』

そういう依頼人の希望だったのだ。

「何な訳?この指定」

「さぁな…」

耕介の問いかけにも視線を合わせる事なく呟く省吾。

…正直、省吾は悪い予感しかしていない。

省吾を立ち合わせるように指定してくるという事は、彼が元軍人である事を知っている依頼者という事だ。

そして、その悪い予感はいともあっさり的中する。