お嬢様と執事様【短編】

恵斗は顔だけをドアの方に向け、あたしも目だけを動かしてドアの方を見た。





「お嬢様、お夕飯の支度ができました。」





聞こえてきたのはメイドの声。




「……。」




「お嬢様?」




「え…あ、はい。すぐ行きます。」




そう答えると、メイドの足音が遠ざかっていった。





チッ




え、舌打ち?


恵斗舌打ちした?


いや、空耳かな…?