お嬢様と執事様【短編】

ベッドに座るあたしのすぐ目の前まで来ていた恵斗は、





「左様でございますか。最初からそうおっしゃって頂ければ良かったものを。」





そう言って、何事も無かったようにドアに向かって歩き出した。





「いやいや、普通わかるでしょ…っていうか、わざとだろ…。」





ホッと肩を撫で下ろしたあたしは、そんなことを呟く。





呟いたつもりが、恵斗には聞こえていたらしい。




「何かおっしゃいましたか?」





サッと体ごと振り返り微笑んだ。





「い、いえ何も…」




さすが恵斗


恐ろしい…