「もう聞き及んでいることと思うが、スプートニク2号に犬を乗せることになった」


 僕やトラスキンさんなど、普段犬の世話をしている下級職員たちを集めて、チェルノコフさんがその決定事項を告げる。


「まだ誰が行くかは決まっていない。が、今までの訓練成績からムーカ、アルビナ、クドリャフカの中から選ぶことになると思う」


 僕は口の中を噛んで平静を装いながら、それをじっと聞いていた。



 口の中に、血の味が広がる。