ぎゃんぎゃんきゃんきゃうばうわう


 何事かと騒ぎ出す犬たちの喧騒の中で、ベルゾニスキーさんが僕に向かって柔らかい笑みを浮かべた。


「ああ、もちろんだよ」


 そんなベルゾニスキーさんの顔中をツガンがなめ回し、みんな苦笑する。

 どうやら、ツガンもベルゾニスキーさんが気に入ったようだった。

 例え裏にどんな思惑があろうと、ツガンが幸せであるのなら、それでいい。

 例えこの先に悲劇の繰り返しが待っているのだとしても、僕は逃げずに共にあろう。

 少しでも彼女たちが幸福でいられるように、してあげたい。

 なにが彼女たちにとって幸いなのかわからずとも、出来るだけのことをしよう。


 きゃん!


 飼育室の隅で、クドリャフカが一際大きく鳴いた。