「クドリャフカ……」


 掠れた喉から血の味が広がる。

 僕は涙を流しながら、背を伸ばす。

 少しでもこの手がスプートニク2号に近づくように、少しでもこの手がクドリャフカの柩に届くように。


「クド……!」


 クドリャフカ。


 彼女の亡きがらは輝く柩に納められ、くるくると地球を回る。

 くるくるくるくると……

 スプートニクが見えなくなっても、僕はそこに立ちつくし空を見上げていた。



「クドリャフカ……」