「シーナ、この俺が発明品の説明をわかりやすくしてやっているというのに、それをぶった切るとはどういう了見だ?!」

「こんな日曜お昼のテレビショッピングでしかもまったく脇役な4番目くらいに紹介されてそうなもの出して何が“最高傑作”ですか!! むしろそっちがどういう了見だと問い質したいです!!」

「なにぃ?! この俺の発明品をテレビショッピングに例えるとは何事だ!! いいか
シーナ、このハサミは力加減さえ間違えなければこうマジックハンドのように物を掴むことも……」

「きゃー!! それでなんでわたしの腕を掴もうとするんですか?!! アホですかわたしの腕を刈り取るつもりですか!!」

「アホとはなんだみつあみメガネ!!」

「あんたもメガネだ!!」



……ああ、世の中間違ってる。

この残念男が、我が校始まって以来の天才と呼ばれているだなんて。

そして高校生活を平々凡々に暮らしたいと願っている容姿並み性格並み成績並みのこのわたし椎名 桃が、よりにもよってこの変人問題児に、恋をしてしまっているなんて──。