「そんなの、決まってるだろ。あんな惚れ薬でも飲まさないと、君が俺のことを見ないからだ」

「──は?」



え、今のは、幻聴?

帝先輩から、あんなせりふ、が……。



「この際だから、今のうちに言ってやる。俺はきみが笑ってても怒ってても落ち込んでいても、かわいくて仕方ないと思ってる」

「へ……っ」

「特に俺がからかったときに顔を真っ赤にさせているところなんて、たまらない」

「……!!」



──ああ、なんてことだ。

まさか帝先輩から、こんな言葉を聞ける日が来るなんて。

もうこれ以上赤くなりようもないくらい、きっと今の自分は、顔が真っ赤に違いない。

そんなわたしを見下ろして、帝先輩が、小さく笑った。



「だから、薬が効いてる今のうちに──」

「……すきです」



まっすぐに、彼の目を見つめて。

わたしは震えるくちびるで、呟いた。



「……ッ、」



だけども一瞬、驚いたように見開かれた先輩の瞳は。

すぐにまた、どこか悲しげに伏せられる。